陸前浜街道の十王坂越

歴史の道百選とは何であったのかと、その活動実績が見られないことからそう考えてしまうことがあります。選定の内容を再び書いてみます。

<これまでの「歴史の道」の調査・整備・活用事業の実績と蓄積を踏まえて、より一層、「歴史の道」及び地域の文化財への国民の関心と理解を深めることを目的に、都道府県教育委員会の協力により、全国各地の最もすぐれた「歴史の道」を選定委員会で厳選したものです。>

「地域の文化財への国民の関心と理解を深めること」ということですが、十王坂越の道を歩いていて、あまりそういった実感がわかないのは私だけ(ブログ作者)でしょうか。また実感がわかない理由は何故なのでしょう。

簡易舗装されたなだらかな街道の坂道

これは陸前浜街道十王坂越の道だけに限ったことではありません。同じ歴史の道百選の中には幾つかそういうところがあります。せっかくこのような素晴らしい歴史の道が残されているにもかかわらず、その歴史の道がここであるということをアピールしているものが何も見あたらないのです。

街道の道脇に不思議な石がある

街道・古道歩きが好きな人や文化財に興味がある人はともかく、それ以外の一般国民の人々へ、「文化庁選定歴史の道」というものがあることを伝えられているのか、またそれらの保存の必要性を理解してもらえているのだろうか。

陸前浜街道十王坂越は、全国各地の最もすぐれた「歴史の道」の一つとして選定されているのですから、案内板や説明版が一つも無いということが残念です。

街道の道と不思議な石-南から北側を見る

かなり辛口な感想ですみません。案内版や説明版の設置には地元の自治体や教育委員会のご都合もあることでしょう。できることならば選定した文化庁(文部科学省)からのバックアップを期待したいものです。

現地の説明と歩いた感想の話に戻ります。

上の写真を見て頂くと写真の右側道脇に丸みを帯びた大きな石があるのがお分かり頂けるでしょうか。直径1mほどの石なのですが、元からこの場所に自然の状態で存在した石とは思われません。

この石は何だろう

どうみても人工的に置かれた石にしか思われません。街道と何か関連がある石なのか、ブログの作者の知識では何の石なのかは想像がつきません。ここから南へ少し進めば十王坂越の道も南側終点になりますが、最初の一里塚付近の墓地からここまでの区間、街道などで見かける石仏や道しるべなどは全く有りませんでした。

十王坂越の道を振り返る-南から北側を見る

歴史の道はどのように保存整備し後世に伝えてゆくべきか難しい問題です。現在のような車社会では未舗装の道は利用しづらく、逆に歴史の道は砂利道のままが理想ですが地域の住民の方はそれでは道の利用に困ってしまいます。歴史の道と生活道路を切り離し、歴史の道は文化財として保存整備すればそこを歩く人も増えるかも知れません、そして名所観光地になりえるかも知れません。ただその場合生活道路をどうするかが難題です。

十王坂越の南端

歩き始めの北側一里塚跡から上の写真の南端まで、十王坂越の道はおおよそ1キロほどの距離でしたが、感じの良いのどかな景観の中を気持ちよく歩くことができました。簡易舗装はされていますが古道・街道の雰囲気は十分にある道です。ただ地理的に交通の便が良くないので、歩く人、訪れる人は少ないようです。案内板や駐車場などを整備すれば今よりは人が訪れ知名度も上がり、<地域の文化財への国民の関心と理解を深めること>に繋がるのではないかと思われます。そのように期待したいものです。何といってもこの道は文化庁選定「歴史の道百選」に選ばれているのですから。

最後に、Google マップの「ストリートビュー」で今回紹介した全行程をたどることができますので興味があるかたは覗いてみてください。

参考資料
文化庁選定歴史の道百選」について:文部科学省
森田敏隆写真集 文化庁選定歴史の道百選 講談社

 


より大きな地図で 長者山遺跡と陸前浜街道十王坂 を表示

タイトルとURLをコピーしました