陸前浜街道の十王坂越

台地南側の坂の切通しの途中で、道がS字状にカーブしているところがあります。このカーブのところに数軒の廃屋が見られます。一般の民家だったのか、街道の民宿だったのか、また或いは峠の茶屋だったのか、以前のことはわかりませんのであれこれ想像して歩いて行きます。

S字状のカーブ途中の道-下り方向を見る

S字状カーブのところをよく観察すると、現在藪になっているところを真っ直ぐ進む廃道があるようにも思えました。はっきり確認したわけではありませんので何ともわかりませんが、古い道はここを真っ直ぐ下っていたかも知れないなどと考えてみることも面白いものです。

S字状のカーブの途中の道-登り方向を見る

古い幹線道というのは特別な例外を除けば基本的に傾斜のある地形でも真っ直ぐ進むことが多いのです。古代道や中世道(鎌倉街道など)は長い切通しを形成して傾斜をやわらげています。自然災害などで直線的な道を維持できなくなったときの応急処置でS字状の道に付け替え、以後その状態で使われ続けるとこのようなカーブを伴った道になるのかも知れません。その他でカーブの理由としては、特別な施設がこの場所に造られていたことも考えられます。

S字状のカーブの道

各地の古道跡を訪ねていると、並列して数本の道跡が同一方向に残っているのを見かけることがあります。特に丘陵部や山間部にそのようなところが多いようです。何故そうなっているのか推測してみると、元の道が利用しずらくなったときに道の付け替えが行われた結果、その後に元の道と付け替えられた道の両方が残ったのではないかと想像します。現在でも道路のメンテナンスで元の道を直すより元の道の隣に新道を造った方が効率がよく実際そのように工事が行われている例はよくあります。

S字状カーブにある廃屋

歩き始めた一里塚跡の交差点の南側墓地付近からここまで、人家は全く見られず、この道を通る人もわずかに台地上の畑仕事をしている人だけのようです。現在では国道6号線が主要幹線路となり、この街道は時代の流れに取り残され、静かに時間だけが通り過ぎて行くようです。
一里塚跡の北側はかっての伊師町宿の中心だったようでその辺りは宿場を思わせる景観が今も残り人家が道沿いに立ち並んでいますが、十王坂越の切通し道や台地上の道は近隣に在住する人達でもそこを通る目的が薄れていった為か寂れて通る人はあまりいないようです。

S字状のカーブが終わりその南側の道

文化庁選定「歴史の道百選」は平成8年に78か所が選定されていました。<第一次選定では、主に明治時代まで活用された七八か所の街道・運河を選定しました。今後さらに良好な「歴史の道」を選定していく予定です。>と書かれていますが、その後選定が行われた実績はあったのでしょうか。

十王坂を南へ下る長い緩やかな坂
南から北側を見る

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