陸前浜街道の十王坂越

文化庁選定「歴史の道百選」というのがあります。 文部科学省のホームページに、<文化庁選定「歴史の道百選」について>、と以下の内容が書かれています。

<これは、これまでの「歴史の道」の調査・整備・活用事業の実績と蓄積を踏まえて、より一層、「歴史の道」及び地域の文化財への国民の関心と理解を深めることを目的に、都道府県教育委員会の協力により、全国各地の最もすぐれた「歴史の道」を選定委員会で厳選したものです。>

古道探索を趣味とするブログ作者にとって、この説明は説得力があり大変心強く感じていました。

茨城県日立市十王町伊師の「長者山遺跡」の投稿記事を前回まとめさせて頂きました。今年の8月にこの遺跡の現地説明会へ出かけていて、それ以前の2008年にも初めてこの地を尋ねていました。その時に長者山遺跡がある愛宕神社の東の舗装道路が「陸前浜街道」であることを知りました。

さて、陸前浜街道とは・・・、以前から名前だけは聞いていましたがこの街道を歩いたのは初めてです。家に帰って陸前浜街道を調べて、「あら、びっくり」。陸前浜街道の「日立市十王坂越」は、何と文化庁選定「歴史の道百選」になっているではありませんか。しかもその十王坂は愛宕神社の東側の舗装道路もそうですし、ただ神社の東側の道はどこにでもあるような舗装道路ですので、歴史の道に選ばれたところの道はどの辺りか調べてみると、神社から南へ道路を進み、JR常磐線の十王駅から歩いてきた道と交差したところを更に南に進んだ辺りのようです。現在もその付近には細い道が残っているのが確認できました。

そこで今回は、その文化庁選定「歴史の道百選」になっている「十王坂越」を歩いてみましたので紹介したいと思います。

一里塚跡のある交差点から南へ向かい 北側を振り返る

JR常磐線十王駅方面から愛宕神社へ向かうには、上の写真の先にある交差点を左に曲がり進んでゆきます。十王坂越は反対に右へ曲がります。写真は十王坂越へ向かう道から振り返り南から北側を見ています。

ところで、この交差点の北東角に一里塚跡があるそうなのですが、私は気がつかず見落としてしまいました。

一里塚跡のある交差点から南へ50mほど進むと右手に墓地が見えてきます。この墓地の墓石は比較的新しいものが多いようです。街道や古道脇の墓地は宗教施設跡であったことも考えられます。墓地途中辺りからゆるい登り坂になり、道は墓地を過ぎたところで左へ急カーブして行きます。

急カーブしている道-南から北側を見る

カーブが終わると登り坂の切通しとなり両側の視界は切通し璧と樹林で遮られ薄暗くなります。切通しであるというだけで古道の雰囲気につつまれ、歴史の道へと引きずり込まれて行くようです。

登り坂切通-北から南側を見る

切通しの道は狭いです。普通自動車一台がやっと通れるほどの道幅です。この近くには車道も鉄道も無く静かです。一人で歩いていると気味悪ささえ感じますが、これが切通しを通る古道の特徴です。

十王坂越-4

薄暗い切通の途中-北から南側を見る

この道を通る人はあまりいないようです。埼玉県や東京都町田市付近のこういった切通しの古道では、必ず不法投棄のゴミが見られ気分を損なうことがよくありますが、ここではゴミもあまり見られません。

坂を登りきり切通しを抜けた付近
振り返り北側を見る

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